寄与行為の内容は様々なものがありますが、大きく5つの類型に分類されます。
被相続人の事業に関する労務の提供により、相続財産の維持または形成に寄与し
た形態です。家事従事型は、典型的には、従事の仕方によって①従業員タイプと②
経営者タイプに分類されます。
ア 家事従事型における寄与分の要件
特別の寄与といえるためには、①特別の貢献、②無償性(報酬を受けていたとしても、特に低額である場合も含む。)、③継続性(概ね3~4年程度は必要。)、④専従性が必要です。
イ 家事従事型における寄与分額の算定方法
家事従事型は、①従業員タイプと②経営者タイプに分類されますが、基本的には、どちらの分類であっても、一般的な寄与分算定の計算式は以下の通りです。
寄与した相続人が通常得られたであろう年間給付額×(1-生活費控除割合)
×寄与年数
被相続人の事業に関して財産上の給付をする場合又は被相続人に対し、財産
上の利益を給付することにより、相続財産の維持または形成に寄与した形態で
す。
ア 金銭等出資型における寄与分の要件
特別の寄与といえるためには、①特別の貢献(財産給付の内容が、被相続人との身分関係に基づいて通常期待される範囲を超えていること)、②無償性が必要です。
したがって、小遣い程度の給付では、①特別の貢献にあたらず、特別の寄与とはいえません。
イ 金銭等出資型における寄与分額の算定方法
金銭等出資型における一般的な寄与分算定の計算式は以下の通りです。
(ア)動産または不動産の贈与の場合
相続開始時の価額(×裁量割合)
(イ)不動産の使用貸借の場合
相続開始時の賃料相当額×使用期間(×裁量割合)
(ウ)金銭の贈与の場合
贈与金額×貨幣価値変動率(×裁量割合)
(エ)金銭の融資の場合
利息相当額(×裁量割合)
※裁量割合は、個別の事案によって判断されることになります。
被相続人が自らの費用で看護人または介護を雇わなければならなかったはずのと
ころを、相続人が療養看護、介護を行い、医療費、看護費用及び介護費用の支出を
避けることによって、相続財産の維持に寄与した形態です。
ア 療養看護型における寄与分の要件
特別の寄与といえるためには、①療養看護の必要性(健常なる被相続人に対する家事援助は基本的にはこれに含まれません。)②特別の貢献(被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を超える貢献であること)、③無償性(報酬を受けたとしても、通常の看護報酬に比べて著しく少額であること)、④継続性(1年以上の療養監護を必要とする場合が多い。)、⑤専従性が必要です。
イ 療養看護型における寄与分額の算定方法
療養看護型における一般的な寄与分算定の計算式は以下の通りです。
付添人の日当額×療養監護日数(×裁量割合)
※裁量割合は、個別の事案によって判断されることになります。
特定の相続人のみが被相続人を扶養し、被相続人が生活費等の支出を免れたこと
によって、相続財産の維持に寄与した形態です。
①被相続人を現実に引き取って扶養する場合と②被相続人に対し扶養料を負担す
る場合が考えられます。
ア 扶養型における寄与分の要件
特別の寄与といえるためには、①扶養の必要性(身体的にも経済的にも扶養の
必要性がない被相続人を引き取って生活の面倒を見ることは基本的にはこれに含まれません。)②特別の貢献(被相続人との身分関係に基づいて通常期待さ
れる扶養義務の範囲を超える貢献であること)、③無償性(報酬を受けたとして
も、通常の介護報酬に比べて著しく少額であること)、④継続性が必要です。
イ 扶養型における寄与分額の算定方法
扶養型における一般的な寄与分算定の計算式は以下の通りです。
現実に負担した扶養料(又は生活保護基準額)(×裁量割合)
※裁量割合は、個別の事案によって判断されることになります。
被相続人の財産を管理したり、維持管理費用の負担をすることにより、被相続人が
管理費用を免れたことによって、相続財産の維持に寄与した形態です。
たとえば、被相続人の賃貸不動産を管理することで管理費用の支出を免れた場合を
いいます。
ア 財産管理型における寄与分の要件
特別の寄与といえるためには、①財産管理の必要性(被相続人の賃貸不動産に
ついて管理会社との契約がなされている場合には、基本的にはこれに含まれませ
ん。)②特別の貢献(被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を超
える貢献であること)、③無償性(報酬を受けたとしても、通常の管理報酬に比
べて著しく少額であること)、④継続性が必要です。
イ 財産管理型における寄与分額の算定方法
財産管理型における一般的な寄与分算定の計算式は以下の通りです。
第三者に財産管理を委任した場合の報酬額(×裁量割合)
※裁量割合は、個別の事案によって判断されることになります。
以上のように、寄与分制度は、遺産分割における相続分を修正する要素であり、共同相続人間の遺産分割協議の前提として問題となります。
また、今日、被相続人の介護、看護等をめぐり、寄与分の有無が争いになることも多いものです。
そこで、まずは、当事務所までご相談ください。
「地域一番の温かい弁護士事務所へ」
サガミ総合法律事務所
(相模大野駅北口より徒歩3分)