前回の記事では、「離婚するには何をしたらいいの?」第4回の記事として、「離婚する時に決めること」について説明いたしました。さて、今回は、「離婚する時に決めること」の中から「財産分与」について説明したいと思います。
財産分与について、民法は、「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求をすることができる。」 (民法768条1項)と定めています。また、財産分与の協議が調わない場合には、家庭裁判所に対して協議に変わる処分を請求することができる(同条2項)と定めています。
そして、家庭裁判所で財産分与の額及び方法を定める時には「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。」(同条3項)としています。
なお、この基準は裁判離婚の場合にも準用されています(民法771条)。
さて、裁判所が財産分与の内容を決める時、「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して」決める(民法768条3項)とご説明しましたが、この条文はとても抽象的なものです。実際の財産分与の決め方はケースバイケースで、一概には言えないため、このページでは、財産分与の中心的な考え方である「清算的財産分与」の考え方についてご説明します。
「清算的財産分与」とは、夫婦が共同生活中に形成した共有財産の清算を行うものです。
基本的には専業主婦家庭であっても、家事を分担している共稼ぎの夫婦においても、特段の事情が無い限り、双方の寄与を平等と推定するという考え方のもと、夫婦が婚姻期間中に築いた財産については、2分の1ずつ分けるという考え方が基本となります。
それでは、具体的な計算方法を見てみましょう。
例 AさんとBさん夫婦の場合
・婚姻期間中に双方が協力して得た財産のうち既にAさん名義となっている総資産
1000万円(A)
・婚姻期間中に双方が協力して得た財産のうち既にBさん名義となっている総資産
500万円(B)
このお二人の財産分与額を計算すると次のような計算式となります。
(1000万円(A)+500万円(B))÷2=750万円(A及びBの各取得額)
BにはすでにB名義の500万円が手元にあるので、AさんからBさんへの支払額は250万
円となります。
750万円(Bの取得額)-500万円(Bの手元にある金額)=250万円(Aの支払額)
つまり、AさんからBさんに対し、250万円を支払うという財産分与を行う結果となりま
す。
このように、財産分与の基本的なルールは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を2分の1ずつに分けるというものです。具体的な財産分与の計算では、いつの時点の金額で計算するのか、個別の財産をどのように評価したらいいのか等問題もありますが(次回以降の記事ではそれらの点について取り上げたいと思います。)、とりあえず財産分与については「2分の1」というルールを基本に考えて頂ければよいのではないかと思います。
ここまでご説明したように、財産分与の基本的なルールは2分の1という一見単純なルールが基本となります。しかし、実際に財産分与を考えると、財産をどのように評価するのか等難しい問題が生じることがあります。ですから、「離婚協議をしているが財産分与について決まらない。」、「財産分与の提案を受けたけど自分に有利なのか不利なのか分からない。」、「財産分与の請求をされた。」、「財産分与の請求をしたい。」など、財産分与に関するお悩み、疑問が御座いましたら、まずは弁護士に相談することをお勧めいたします。
当事務所においても、財産分与に関わる様々な状況における相談に対応しております。
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