旧規定における強姦罪及び準強姦罪が、新規定においてそれぞれ強制性交等罪及び準強制性交等罪に改正されるにあたり、その法定刑についても、次のとおり引き上げられました。
旧 強姦罪、準強姦罪 3年以上の有期懲役
新 強制性交等罪、準強制性交等罪 5年以上の有期懲役
強制性交等の悪質性、重大性に対する現在の社会一般の評価は、強盗や現住建造物等放火(いずれも法定刑の下限が懲役5年)に対する評価を下回るものではないという考えが、今回の改正に繋がったと考えられます。
強制性交等罪等の法定刑の下限を引き上げることに伴い、結果的加重犯を規定する強制性交等致死傷罪等の法定刑についても、次のとおり引き上げられました。
旧 強姦致死傷罪、準強姦致死傷罪 無期 又は 5年以上の懲役
新 強制性交等致死傷罪、準強制性交等致死傷罪、監護者性交等致死傷罪
無期 又は 6年以上の懲役
●廃止された罪
2人以上の者が現場において共同して強姦罪又は準強姦罪を犯したときは4年以上の有期懲役に処すると定めた集団強姦罪・集団準強姦罪が廃止されました(刑法178条の2削除)。
また、その結果的加重犯を規定した集団強姦・準強姦致死傷罪(無期又は6年以上の懲役)も廃止されました(刑法181条3項削除)。
●改正後はどうなる?
上記のような行為は、強制性交等罪(刑法177条)、準強制性交等罪(刑法178条2項)、監護者性交等罪(刑法179条2項)及び同各罪の致死傷罪(刑法181条2項)によって処罰されることになります。
●改正の趣旨は?
強制性交等罪の法定刑の下限が、引上げ(5年以上の有期懲役)により、集団強姦罪の法定刑の下限(4年以上の有期懲役)を上回ることになりました。
そして、強制性交等致死傷罪の法定刑の下限が、引上げ(6年以上の懲役)により、集団強姦致死傷罪の法定刑の下限(6年以上の懲役)と同じになりました。
したがって、集団強姦罪等を廃止しても、適切な科刑が可能と考えられたのです。
次回の第5弾では、「強盗・強制性交等罪の新設」について取り上げます。