寄与分とは、共同相続人の中に、被相続人の財産の維持又は増加について、特別の
寄与(通常期待される程度を超える貢献)をした者がある場合に、他の相続人との実
質的な衡平を図るため、その寄与した相続人に対して、相続財産以上の財産を取得さ
せる制度をいいます。寄与分は、遺産分割に際して、相続分を修正する要素とされています。
寄与分がある場合、相続財産の一定割合又は金額を相続財産から控除して、これを寄与した相続人が相続分とともに受け取ることになります。
寄与分がある場合の具体的な相続分の計算は、以下の通りです。
相続財産-寄与分額=みなし相続財産
<寄与した相続人の具体的相続分>=みなし相続財産÷法定相続分+寄与分額
<寄与をしたもの以外の具体的相続分>=みなし相続財産÷法定相続分
寄与分を受けることができるのは、相続人(代襲相続人を含む)のみです。
したがって、被相続人から遺言により遺贈を受けた者(受遺者)や被相続人の内縁の配偶者は、寄与分を受ける資格はありません。
(1)「特別の寄与」であること
特別の寄与とは、身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超える貢献をいいます。
したがって、夫婦間の協力扶助義務、親族間の扶養義務・互助義務の範囲内の行為は、特別の寄与にはなりません。
例えば、妻に寄与分があるというためには、家事労働のほかに夫の農業や家業を手伝ったり、共働きだったりする程度のことが必要であり、家事労働が主である場合には、それだけでは、事業の経営など特段に寄与をしたとは認められないとした事例(高松高決昭和48年11月7日)があります。
(2)被相続人の財産が維持又は増加したこと
相続人の行為によって、その行為がなかったとすれば生じたはずの被相続人の積極財産の減少や消極財産(債務)の増加が阻止されることが必要です。
したがって、財産上の効果のない精神的な援助・協力は、寄与として考慮されません。
(3)寄与行為と被相続人の財産の維持又は増加との間に因果関係があること
(1)協議
寄与分は、第一次的には、共同相続人の間の協議によって定められます。
(2)調停
共同相続人間の協議によって寄与分が定まらない場合には、家庭裁判所に寄与分
を定める調停を申し立てることができます。
(3)審判
共同相続人間において、寄与分を定めることができない場合、家庭裁判所に寄与
分を定める審判を申し立てることができます。
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