監護権とは、親権のうち、「居所指定権」「懲戒権」「職業許可権」などが認められる権利です。
簡単に言えば、子供を引き取り、どこに住むかを決めて、身の回りの世話をする権利者のことです。
親権は、大きく身上監護権と財産監護権に分けることができますが、監護権者には、身上監護権のうちの子供の世話に関する権利が認められています。
親権と監護権を分けることは一応できます。
例えば、離婚に際し、親権者を父親、監護権者を母親と定めることが可能です。
この場合、戸籍上は父親が親権者となりますが、実際に生活を共にして身の回りの世話をするのは母親ということになります。
夫婦双方がどちらも親権を譲らず、対立が激しくなってしまっている場合などには、親権と監護権を分けて離婚するという解決方法も考えられます。
協議離婚、つまり話し合って離婚届を提出して離婚する場合には、話し合いの中で、夫婦のどちらを監護権者にするか決めることになります。
しかし、親権者と異なり、監護権者は離婚届けに記載する欄が無いので、親権者とは別に監護権者を定める場合には、しっかりと書面に残しておくべきでしょう。
それでは、話し合いで監護権者が決められない場合にはどうなるのでしょうか。
この場合も、裁判所に対して「子の監護者の指定」の調停または審判を申し立てをして、裁判所に決めてもらうことができます。
それでは、監護権者を決めるにあたってはどのような事情が重要になるのでしょうか。
まず、前提として、親権と監護権を分ける必要があるのかという問題があります。
親権者とは別に監護権者を定めるということは、離婚後、子の氏の変更や、手当金の受給について不都合が生じる可能性があるからです。
したがって、親権者とは別に監護権者を定める必要があるかといった判断にあたっては、
◇父母の一方が身上監護者として適当であるが、身上監護以外には適任者ではない場合
◇父母双方が親権に固執していて、子の精神的安定に分離させる方法が効果的と解される場合
◇父母のいずれが親権者になっても子の福祉にはかなうが、共同親権の状態に近づけるという積極的意義がある場合
といった要素が重要になると言えます。
監護権は、親権とは異なり、戸籍への届け出が必要ないなど、親権と比べ柔軟な解決が望める場合もあります。
前に書いたように、親権と監護権を分けた場合の不都合もありますが、制度を理解して上手に活用し、ご自身にとって、そして子供にとってよりよい環境を作りましょう。
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