裁判による離婚の場合には、以下の5つの離婚事由に、最低一つは該当しなければなりません。
(裁判離婚についての説明はこちらをご覧ください。→裁判離婚)
◇不貞(浮気)
→配偶者のある人が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の人と性的関係を結ぶことを言います。期間の長さや、愛情の有無は関係ありません。
◇悪意の遺棄
→故意に同居・協力・扶助義務に違反することを言います。
具体的には、夫婦関係を壊そう、夫婦関係が壊れてもよいと考えて、「勝手に家を出て行ってしまった」「わざと生活費を渡さない」「ギャンブルばかりしていて働かない」等の行為がこれにあたります。
◇3年以上の生死不明
→3年以上相手方が生死不明の状態であることも離婚原因となります。
生死不明とは、事故、自殺などの可能性があるが証明できない時や、蒸発して以来連絡が無いことを言います。
◇強度の精神病
→不治の精神病にかかったというだけで離婚が認められるわけではなく、裁判所が様々な事情を考慮して離婚を認めるか判断します。
◇その他婚姻を継続し難い重大な事由
→夫婦の関係が破綻していて回復の見込みがないことが必要です。
離婚の理由でよく「性格の不一致」という言葉を聞きますが、「性格の不一致」という離婚事由は法律に規定されていません。
性格の不一致は、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するか否かの判断の中で離婚事由になるか考慮されます。
◇その他婚姻を継続しがたい重大な事由
→夫婦の関係が破綻して見込みがないことが必要とされます。
具体的な事由としては、「性格の不一致」を含め次のような事由が問題となりえます。
◇性格の不一致
→双方の努力によっても解消できない程度であることが必要です。
◇不貞(浮気)類似の行為
→不貞とは言えないものの、それに類する他の異性との関係が原因で婚姻関係が破綻したような場合がこれにあたります。
◇暴行・虐待
→いわゆるDVにあたるものです。
暴力がひどい場合には、DV防止法による対策を考える必要があります。
◇重大な侮辱
→人格を蔑ろにするような発言、言葉の暴力がこれにあたります。
◇性的不能、性的異常
→性的不能、相手方の嫌がる性生活、ポルノ雑誌等への耽溺が離婚事由にあたるとされた事例があります。
◇勤労意欲の欠如、浪費
→不貞、アルコール依存、ギャンブル等を原因として、働かず、協力扶助義務に違反するものがこれにあたります。
◇精神障害
→アルコール中毒、薬物中毒、重度でない精神分裂病などがこれにあたります。
◇病気
→精神障害でない病気は基本的には離婚原因となりません。
しかし、病気の発症とそのほかの言動が相まって離婚が認められることがあります。
◇配偶者の親族との不和
→親族と仲が悪いというだけでは離婚原因とはなりせん。しかし、そのことに対する配偶者の態度によっては、離婚が認められることがあります。
◇宗教活動
→信仰を理由とするだけでは離婚請求認められません。
しかし、宗教活動が行き過ぎ、夫婦の協力義務を履行できない状況になった場合には離婚が認められる場合があります。
これらの事由は、その事実があるだけで離婚が成立するとは限りませんが、程度がひどく、夫婦としての関係が壊れてしまっている場合には、離婚が認められる可能性があります。
現在の判例実務では、「有責配偶者」といって、離婚原因を作った配偶者からの離婚請求を認めない場合があります。
例えば、浮気をした配偶者が、一方的に離婚を求めてきたような場合です。
有責配偶者からの離婚請求が認められる場合もありますが、
◇別居期間が夫婦の年齢および同居期間と比べて相当長い期間に及んでいる
◇夫婦の間に未成熟の子がいない
◇離婚を求められた相手方配偶者が、離婚により精神的・社会的・経済的にきわめて過酷な状態に置かれていない
といった、離婚を認めても社会正義に反すると言えるような特段の事情が認められない場合には、有責配偶者からの離婚請求も認められる可能性があります。
しかし、上記の条件を満たしても、必ず離婚請求が認められわけではないので注意してください。
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